常念岳東尾根 山頂直下にて敗退(個人山行)

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    【日程】2024年3月2日~3日 (4日 予備日)

    【行程】

    3月1日 広島=梓川SAで仮眠=須砂渡ゲート

    3月2日 05:50須砂渡ゲート-07:05高瀬川線NO.63標識-10:20林業路終点-14:10幕営地(2,150m)

    3月3日 04:10幕営地-07:05前常念-07:50常念小屋への分岐地点(撤退)-09:50幕営地(休憩撤収)-14:30須砂渡ゲート=松本(民泊)

    3月4日 松本゠広島

    【参加者】:3名

     

     

    【登山概況】リーダー(O)

    私自身は、過去2回、東尾根から12月と3月に行った事があるのですが、いずれも悪雪や天候により敗退している。三度目の今回の山行になったが今回は山頂目前で強風により敗退となった。つくづく常念岳には嫌われているなあと思ったが幸い、強風以外は良い感じで絶景も日の出も拝めたし、-20℃に迫る北アルプスも満喫できて、楽しい充実した山行となりました。

    2日(初日)

     当初の予定ではテント泊装備で前常念の避難小屋まで歩き、避難小屋の中にテントを張り翌日に山頂アタックをする予定だったが、どの天気予報を見ても2日は風速25mぐらいの強風予定だ。また三日前ぐらいから新雪も降っていて避難小屋を発見できなければ幕営が困難になると予想し、初日の行動を森林限界の手前までに変更した為、出発を急ぐ必要がなくなった。明るくなり始めた6時前に須砂渡ゲートを出発、雪は多いが幸い二人程度の先行者の新しいトレースがある。トレースを外すと結構、埋まるのでトレース通りに進む。1時間ほどで入山地点に到着、ここから東尾根の冬期アルパインルートだが電力会社の保安道や林業道などがあり1,650mぐらいまで歩きやすい道がついている。林業道が終わると以前、苦労した藪地帯が始まるが雪が多く先行者のトレースにも助けられ順調に進むが重荷も堪え出す。1,955m地点まで登り休憩、幕営予定地まで残り標高で200mぐらいだが、ここからダラダラとした樹林帯で景色も余り見えず長かった。あと少しと思い、気が緩んだせいかとても疲れた。14時に過ぎに幕営地に到着、意外に4テンを張れるスペースは少なかった。寒いので急いでテントを張りガソリンストーブで暖まる。夕方ぐらいから時々、突風がテントを叩く。3人でたっぷり鍋を食べ各自が持ってきた嗜好飲料で楽しみ19時頃、消灯。

    3日(アタック日)

     寒くて何度か起きながら朝を迎える。カチカチに凍った昨晩の残り鍋に、カチカチに凍ったマジックライスを投入し雑炊を食べ、まだ暗い4時過ぎに出発、雪は固くあまり埋まらないが風が強く古いトレースは消えていてルーファイをしながら進む。ルートを外すとしっかり膝まで沈む。森林限界を越えると風が強くなってきたが歩けないほどではない。背後が少しずつ明るくなる朝焼けが美しい、日の出が待ち遠しく何度も振り返りながら進む。風は強く軽い雪が巻き上げられて飛んで行く。6時10分、遂に太陽が地平線から顔を出す。暫し歩みを止めて3人で日の出を楽しむ。御嶽山や富士山のシルエットが素晴らしい。風が強く前が向けないので3人ともゴーグルを着用、最近の曇り止めは、かなり進化していてバラクラバを装着していても曇らず良い感じだ。前常念までは岩稜帯と偽ピークが続く、深い雪を進むより岩稜帯の方が楽だ。アイゼンに慣れたパーティーなら問題ない。偽ピークに何度も騙されながら漸く前常念、疲れが残っているせいか、ここまでもしんどかった。立派な尾根の向こうに、でっかい常念岳が凄く遠くに見える。前常念到達も写真も撮らず、そのまま常念岳を目指す。ソロの先行者2名が遠くに見えるが苦労しているように見える。先頭の登山者は力強く一人でラッセルをしている。羨ましい体力だ。時々、踏み抜く尾根を頑張って進んでいると先頭のソロ登山者が山頂手前から戻りはじめている。我々のいる尾根は諦めるほど風は強くない。なぜだろう?時間切れなのかな?と思いながら進んでいるとパワフルソロ先行者と合流する。山頂直下あたりから爆風過ぎて進めず無理せず戻ってきたそうだ。尾根から見る常念岳の山頂はテレビで見るエベレストように雪煙が上がっている。天気予報では、夕方にかけて天候は下り坂なので、好天する事はないだろうが爆風を確かめる為、進む事にする。前常念から1時間ほどで常念小屋への分岐がある山頂までの最後の登りの場所へ出る。トレースのない山頂直下のビクトリーロードが目の前に見える。容赦なく身体をフラつかせる爆風を受けながら暫く考える。アックスを雪面に打ち込みながら這うように進めば行けなくもないが往復で1時間は掛かるだろう。目の前に見える山頂に悩んでしまったが撤退を決意。最高地点(2,805m)で風の間をついて写真を撮る。山頂は2,857m、残りたったの52mだ。2022年のアマ・ダブラムの悔しさを思い出したが撤退と決まれば心を入れ替えて景色を楽しみながら下山開始、幕営地まで戻り、いったん暖まり撤収、一気に下山をしました。なかなか登れない常念岳東尾根、初心者でも少しアイゼン歩行の練習をすれば、厳冬期の北アルプスを味わえる良いルートだと思います。是非、ユースの新しいメンバーにチャレンジしてほしいなーと思います。

    【ヒヤリハット報告】

     ヒヤリではないが幕営地到着後、テントを張る時に張り綱が一本なかった。非常用袋に入れていた細引きで対応したが持って行く前に確認が必要だった

     

    撤退地点にて

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