雪崩レスキュー研修会<八幡原>

    【日程】2024年1月14日

    【行程】9:00集合—(午前)ビーコンの装着、グループチェック(午後)プローピング、シャベリング—16:15研修終了、解散

    【参加者】10名

    【内容】 リーダー(T.Y)

    昨年同様に、雪が少なく、八幡高原で開催することにした。トレーニング内容は昨年とほぼ同様だが、十分な積雪がなく弱層テストは未実施、代わりに電子機器の電波干渉の実験をした。サーチ時は実際スマホを重ねると受信が全く困難。胸ポケットに収納の場合は、個体差があったが、確実に本来の受信距離より短くなる。

    サーチトレーニングは、はじめに、初心者、経験者に分かれてシナリオレスキューをしてもらった。時間は及第点であったが、経験者であっても動きはスムーズとは言い難かった。基礎の講習を行い、何回かシナリオトレーニングを行った後は、まとまった行動をとれるようになり、やはり毎年の訓練が必要であることを感じた。

    【ヒヤリハット報告】特になし

    【感想】(記:Y.O)

    今年は暖冬で積雪が 40〜50cmしかありませんでしたが、快晴の青空の下、八幡湿原で白銀の世界を満喫しつつ、雪崩講習会受講しました。

    ビーコンの操作は、昨年登山教室で学びましたがすっかり忘れていました。

    機器の基本(電源・送受信の切り替え 左手で電源を押さえながら右手で送信・受信を選択)

    〇ビーコンはアウターの下に画面を保護するため画面が体に接する側に装着しスマホと 50cm は距離をおく。(スマートウォッチ等も干渉する)

    〇グループで登山前にビーコン電波が正常に作動するか(電波受信モード=サーチモード・発信モード=センドモード)指導者指示のもと確認する。

    全員が交代でリーダー役になり確認の方法を繰り返し学ぶ。

    登山開始時は全員センドモード(電波発信)にする

    〇ビーコン電波特性を知る。(電波は蝶の羽型のように左右に円を描き広がる。受信距離は長いところで 50m だが非常に短くなるスポットがあることを知る)

    〇雪崩埋没者の捜索の方法を学ぶ。(ビーコン・プローブ・シャベルの使い方)

    順番に捜索者になり5m位先に埋め込まれているであろう埋没者(プラ容器入りビーコン) を発見、救出を体験する

    ビーコンを体正面に構え捜索開始し、数値が3になったら腰を落としビーコンを雪面に近づけ水平に十字にゆっくり移動させ一番数値が低い位置を特定する。

    プローブを斜面谷側に投げ先端のひもを引っ張り固定する

    ビーコンで特定した位置を中心に 30 ㎝間隔で渦巻させながらプローブを刺すプローブは体の中心に構え雪面に対し直角に刺し埋没者を探し当てる

    シャベルで埋没者掘り出す。刺したプローブよりも斜面の下側からプローブの深さの 1.5 倍の位置から掘り始める。V字コンベアーで掘り出した雪は後続者に送る。疲れたら先頭掘り出しは交代していく。

    〇午後からは広範囲で埋没者捜索練習グループリーダーを交代で行い、役割分担(リーダー・観察と救助依頼・捜索者)を決めて捜索の流れ、技術を繰り返し復習しました

    反省 私は初の参加で A 班の足を引っ張って班の意思疎通がうまくできませんでした。来年はもう少しマスターしたいと思います。そのため次回のための資料のような感想文になってしまいました。指導者、参加者皆様、学びの場を有難うございました。これからもよろしくお願いします

    (記:H.Y)

    これまで何度も雪山には行き、雪崩の本も読んだことはありましたが、雪崩レスキューに関する実地研修を受けるのは今回が初めてでした。ビーコン、プローブ、スコップ等のアバランチギアの存在は知っていたものの使い方は全く知らなかったため、昨年末に開催された特定非営利活動法人日本雪崩ネットワーク主催のアバランチナイト(雪崩安全セミナー)を受講して本研修に臨みました。

    まずはビーコンの装着と動作確認(GROUP CHECK)の方法を習いました。動作確認の方法(Mammut バリーボックスの場合)は、

    • リーダーは SEND モード、メンバーは GROUP CHECK モード(スイッチは SEND モード)にします。メンバーが 1 人ずつリーダーに近づいていくことで、リーダーのビーコンから電波が発信されているか、また各メンバーのビーコンが電波を受信できているか確認します。
    • 次に、メンバーが SEND モード、リーダーが GROUP CHECK モード(スイッチは SEND モード)の状態にして、メンバーのビーコンから電波が発信されているか、またリーダーのビーコンが電波を受信できているか確認します。
    • 以上の動作確認が終わったら、リーダーは GROUP CHECK モードから SEND モードに切り替えを行い、入山準備が完了する。

    非常に簡単な手順ですが、GROUP CHECK モードでは、SEND にスイッチがあるのに SEARCH の動作確認をしていることで頭が混乱し、理解に時間がかかってしまいました。また、自分がリーダーをしてみると、最後に GROUP CHECK モードから SEND モードに切り替えをすることを忘れてしまい、指摘を受けました。講師のYさんからは、「この手順での GROUP CHECK は、リーダーが最後に SEND モードに切り替えることになっているが、それはリーダーの責任の重要性を意味している」と教えて頂き非常に納得できましたが、自分がリーダーをするときに忘れてしまいそうで不安に感じるとともに、自分がリーダーではない時でもリーダーに対して SEND モードに切り替えたかどうか声掛けすることも大事だなと感じました。

    次はレスキューの実践です。まずは講習無しの状態でシナリオトレーニングを行い、その失敗を振り返りながら 1 人が埋没した前提でのサーチトレーニング、プロービング、シャベリング方法の講習と実践、さらに複数人が埋没した前提でのサーチトレーニングなどを 2 グループに分かれて行いました。実践してみて感じたことは、事前に講習を受けた内容であっても、生存率が高い 15 分以内に救出しようと思うと焦ってしまって忘れてしまうことが多く、また冷静に行動できませんでした。特に、ビーコンとスマホやスマートウォッチとの電波干渉を防ぐために SEARCH モードの時は両機器を 50cm 以上離す必要があり、そのためにスマホはザックの中へ入れるということを何度実践しても忘れていました。また、役割分担として 2 次被害を防ぐための見張り役に指定されたとしても、捜索がスムーズに進んでいない場合には「仲間救助のために何かしたい」との思いから救助に入ってしまうことがありました。雪崩救出は時間との闘いであるため焦りが出てしまいますが、何とか冷静さを保たなければならないなと感じました。冷静に行動するためにメンバー間での声掛けも有効なのかもしれません。このような反省点は机上学習では実感できなかった部分ですので、今回の実地研修に参加して非常に良かったと思いました。また、この日の研修で何度も実践トレーニングを繰り返すことで参加メンバー間での連携が良くなっていき、少しずつ上達していったように感じます。そのため、実際に山に行くメンバーで一緒にレスキュー練習をしておくことの重要性も感じました。

    1 日の研修を終えてもまだ上手く出来ない事も多かったですので、個人でもシミュレーションを繰り返し、もしものことが起きた時に冷静に行動し良い結果に繋がるようにしておきたいと思いました。

     

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