アルパインクラブ(シニア)8月例会<北岳バットレス・四尾根>

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    【日程】

     2023年8月23日(水)~26日(土)

    【行程】

     23日(水)   

     17:40広島出発=24日3:00頃芦安駐車場(仮眠)

     24日(木) 

     05:00発 乗合タクシー=06:20広河原-09:40白根御池小屋(テント泊)

     25日(金) 

     02:20白根御池小屋~05:00五尾根主稜取付05:30登攀開始~08:00四尾根主稜取付

     ~13:00四尾根終了点~13:50北岳頂上~16:00白根御池小屋テン場(テント泊)

     26日(土)   

     06:20白根御池小屋~08:30広河原=芦安駐車場=広島

    【参加者】

     3名

    【登山概況】 例会担当リーダー( O.Y )

     最初の目的は北岳バットレスを2人1組でパーティーを組みスタカットでの登攀を計画して参加者を募ったのですが残念ながら奇数3人となった。四尾根はある程度のクライミング経験があれば簡単に登れるルートですが人気のルートでありロープワークや無駄のない素早い行動をしないと日が暮れてしまったり他のパーティーに迷惑をかけてしまう。灼熱の中、天応で数回、ロープワークのトレーニングを実施。TさんYさんともに四尾根の登攀は問題ないと判断したがYさんはロープワークの理解、スピードがまだまだ、登攀のスピードも遅い為リードは諦めてオールフォローで行く事を条件として参加して貰った。目的をTさんの四尾根オールリードに切り替えて、2度目の四尾根になる私は、なるべく手助けをしないと決めた。

     24日:白根御池小屋までのアプローチと取付付近までの偵察を考えていたが広河原の出発から生憎の雨で雨具を着込んでのアプローチとなった。序盤の登りでYさんが失速、調子が悪く歩くのがキツいという事だ。少し歩いては休憩の繰り返しが続くが後半は少し調子が戻ってきたようだ。明日からの行程を考えると不安になるスタートだった。テン場で早めに休んで体力が回復しないようであれば、登攀日は白根御池に待機してもらおうと心の中で決めた。白根御池小屋に到着して小雨の隙にテントを張った頃、Tさんも風邪を引いたような症状が出ているらしく、調子が悪くなり薬を飲み横になる。これは明日、どうなることやらと心配したが、薬が効いたのか食欲もあり良くなったようで安心、明日の取付までのアプローチで体調が優れないようなら撤退も視野に入れながら19:00頃、消灯。

     25日:登攀日、1時半に起床し各自、簡単な朝食、私は楽しみにしていたモンベルの高級マジックライスだったが半分ぐらい食べて残した。2人とも食欲はあり体調の事も言わないので大丈夫のようだ。漆黒の空に満天の星空が輝く2時20分に出発し大樺沢二俣へ向かう。アプローチで2つの不安があった。昨日、下見に行けなかったので、二俣からの登山道と取付へ向かうC沢の先の目印ケルンを見つける事が暗闇の中で大丈夫かどうかが不安だったのですが案の定、二俣の少し先で少しロスト。いったん落ち着いてGPSで確認後、直ぐに復帰、C沢先のケルンも通り過ぎてしまったがGPSで確認後、見つける事ができ取付へと、あまりロスなく進む事ができた。岩壁が目前に迫る頃、明るくなり五尾根取付でご来光となった。五尾根取付から四尾根取付まではアプローチシューズのまま、大田がリード。四尾根から、いよいよTさんの出番となった。1ピッチ目、Tさんリード、終了点を通りすぎ50mで足らないぐらい進み、私が2mほど登り、なんとか終了点を作ったようだ。先に登ってしまったので見てはなかったがYさん、フォールする。ロープの伸びもありグランドしたという事だが幸い怪我はなし。Yさん側のロープをビンビンに引っ張りビレイするようにトランシーバーで頼んだ。次のピッチも50mいっぱいまで進む。その後も順調に登攀、下部からの別パーティーも無く先頭を行く。四尾根貸切で気持ちいい。残念ながらマッチ箱の手前ぐらいからガスがあがってきて、ガスってきたり晴たりとなったが、Tさんも絶好調。ラッペルもそつなくこなし枯れ木テラスを目指す。2ピッチでフェイスを登る。枯れ木テラスからトラバースして最後の城砦ハング、疲れた身体で最後が一番難しいピッチになる。Tさんから代わってくれと言われれば、代わるつもりでいたのだがTさんは、そんな事は言わず直ぐにリードの準備をして行く気満々である。本当に凄い人だなあと感動する。核心部も、いつもの軽い身のこなしで越えていき、暫くしてトランシーバーから「ビレイ解除」とTさんの声が響く。四尾根オールリード達成である。「おめでとうございます!」とトランシーバーで返した。その後、Yさんが核心部で苦労し、スリングアブミでなんとか越える。最後に私が登り終了となった。3人で固い握手をして北岳山頂へ息を切らし向かった。山頂にはたくさんの登山者がいて、盛り上がっていた。久しぶりに見る登山者に私たちも嬉しい気分になり、72歳で四尾根をオールリードしたTさんをみんなに自慢したくなった。(笑)

     昨年の鉾岳、大長征の登攀、今回のバットレスと本当に凄い事だと思います。22年後の私がここまでできるのかと不安にもなりますが、頑張ればあと22年も山ができるんだと思うと嬉しくもなります。常に目標を持って取り組む事が大事なのだと思います。Tさん、次は何処にいきましょうか!?

    26日:最終日は下山のみ、起床時間だけ決め、朝食、パッキングが済んだら出発した。下り初めて30分ぐらいで、たくさんの登ってくる登山者とのすれ違いが始まり「おはようございます!とコンニワ!疲れ」となった。都会の山は忙しい。Yさんも初めての大きな山、いろいろ注意し少しキツく言った時もあると思いますが、無事に予定通りの時間で登頂できました!今回の経験でいろいろな気づきや、やらなければならない事をいろいろ感じる事ができたと思います。また一緒にいけるように楽しみながら頑張りましょう。

    【感想】(T.F)

     シニア例会山行の候補地を決める3月ミーテイングで「北岳バットレス」がOさんから提案された時、7年前にHATメンバーであるMさん・Iさんの各パーティが登攀する姿を遠くから見ながら、「凄いなぁ~」と思い北岳山頂を目指して左俣コースを歩いていたことを思い出した。6月に今回の計画書案が提示された。行ってはみたいが、自分の技量は?迷惑をかけないか?誰が自分と組んでくれるか?判断に苦慮したが、Oさんに相談すると「行けるよ!」の言葉で思い切って参加申込みをした。参加者は3人となり、Oリーダーから四尾根をオールリードで登攀する様に言われた時はびっくりしたが、私の技量を知ってのことであり、無理と思ったら交代してもらえばいいと思い挑戦することした。ダブルロープを使っての登攀は経験がなく、暑い中天応でOさんから指導を受ける。ロープワーク等の習得も大事であるが、登攀者仲間を知り信頼を得るためにも事前練習の必要性を今回も感じました。登攀当日は、天気も回復し、順調に四尾根の取付きに到着。気合いを入れてスタート。終了点の構築も練習場所の天応と違って時間がかかる。慎重にホールド位置を確認しながら登攀。何とか最後の城砦ハングを乗り越えるとトランシーバーからの「おめでとう」の声。達成感を感じた一瞬でした。この様な貴重な体験ができたことは、Oさん、Yさんに感謝することはもちろんですが、シニアクラブの方々、天応での練習仲間に感謝・感謝です。そして、家族に。

    【感想】(Y.E)

     2023年の私の夏は「北岳バットレス」に向けて始まりました。無事に終えられて本当によかったです。練習では毎回手応えを感じていたものの、7月に入り雨や猛暑で思うように進まず、不安も混じり本番を目前に右腕が酷い湿疹に。体調不良の影響は1日目の登山に現れ、ご心配をかけてしまいました。この調子では御池小屋で断念せざるを得ないかと思っていましたが、幸いにも2日目から体調も戻り計画通りに続行出来ました。

     登攀は順調で、下調べしていた通りの岩稜が次々に広がっていました。しかし、出だしが少し難しいと書かれていた四尾根主稜の最初のクラックで、いきなり背中から地面にフォールしてしまい驚きました。その後はかなり慎重になりました。最後の難関、城塞ハングに取付くと出来る気がせず、AOするしかなかったのが残念でした。リードのTさんはここも難なく通過。今回難しいところで何度も「Tさん、スゴーイ!」と思っていましたが、体力・気力と共にここが一番感服しました。

     今回「北岳バットレス」に導いて下さった大田さんに最大級の感謝です。力量に合わせて計画されサポートして頂いたおかげで私も行けました。また練習につき合って下さったシニアメンバーの方々を初め、ご心配頂いた方々へもお礼を申し上げます。今後共よろしくお願いいたします。日頃の三倉や天応での練習がいかに基本になっているかを感じました。練習に励んでまたどこかの目標に向かって行きたいですし、今度「北岳バットレス」に行く機会があったらリードしたいと思います。

    【写真】

    <バットレス四尾根登頂後、北岳にて>
    <四尾根1ピッチ目:T ビレイ:Y>
    <マッチ箱>

    以上

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