アルパインクラブ9月例会<鋸岳、甲斐駒岳>

    【日程】2018年9月22日~24日
    【行程】
    9月21日(金)
    広島発=A班:戸台P B班:仙流荘P
    9月22日(土)
    A班:戸台P6:45-9:35角兵衛沢出合10:5-12:50大岩小屋の水場(泊)
    B班:仙流荘P6:00=(バス)=6:50北沢峠7:30-12:40甲斐駒ヶ岳13:00-14:30六合石室(泊)
    9月23日(日)
    A班:六合目石室6:20-8:20角兵衛のコル-8:45第1高点(鋸岳)9:05-9:20鹿窓9:40-11:30中ノ川乗越-14:05六合石室(泊)
    B班:六合目小屋6:00-6:30三ツ頭-7:20中の川乗越-8:15第2高点-9:20鹿ノ窓-9:55第1高点(鋸岳)10:10-10:30角兵衛沢コル-鋸岳登山口-16:15戸台駐車場16:25=(A班のデポ車)= 仙流荘(泊)
    9月24日(月)
    A班:六合石室4:05-5:55甲斐駒ヶ岳6:10-7:10駒津峰-9:15北沢峠=(バス)=仙流荘(B班と合流)=広島
    B班:仙流荘(A班と合流)=広島
    【参加者】5名

    【登山概況】 例会担当リーダー M(A班)
    もともとこの計画はY.Tさんの発案であった。鋸岳から甲斐駒ガ岳に続く稜線は、仙流荘から北沢峠に上がるバスの中から見ることができ、その稜線上に「鹿の窓」という穴があることをバスの運転手さんが説明しているのを聞いて、いつか行ってみたいと思っていたので参加表明したところ、リーダーを仰せつかった。Y.Tさん自身は体調がよくなかったようで今回の山行には参加しなかったが、5名のパーティで実施することになった。パーティはルートの状況から大勢での通過は安全上問題が大きいと考え、2班に分け、A班は角兵衛沢から北沢峠を目指し、B班はその逆コースと辿ることにした。B班のリーダーはT.Uさんに引き受けて頂いた。
    今回のパーティには最強の雨男(?)が参加しているので天気のことは気になってしようがなかった。出発前は何度も天気予報を確認した。すっきりとした予報ではなかったが大崩れすることはないだろうと判断し、出発を決めた。戸台川の渡渉もあるので周辺の雨量などもチェックしていたが雨量は多くないのでこれも大丈夫と判断した。戸台に向かう道中、名古屋辺りで結構な雨が降っていたが、戸台の駐車場に到着した時点では雨は上がっていた。しかしまだまだ油断のならない雲行きであった。
    戸台の駐車場では様子が以前とすっかり変わっていることに驚かされた。以前は川の右岸側に立派な作業道がつけられていたが完全に消失してしまっており、いきなり河原歩きになる。駐車場には我々の車以外に2人パーティがデポした車の1台だけ。このパーティは北沢峠から鋸岳を目指すらしい。我々のB班のことも話しておく。仙流荘のバス停には広い駐車場に入り切れないほどの車があったがこの違いは何なんだろう。Y.O君と二人で静かに出発。途中渡渉2回で角兵衛沢の出合の右岸側にたどり着く。はだしで渡渉するのは足が痛い。次回このような場所に来るときは渡渉用の靴下くらい用意したほうが良いだろう。角兵衛沢に入ると雨が本降りになった。合羽を出して着るが、すぐに止んだ。気持ちの良い樹林帯ではいろんな種類のキノコがいっぱい生えている。中には美味なキノコもあるのだろうがわからないのが悔しい。昼過ぎには今夜の寝処である岩小屋下に到着。先着者はおらず寝る場所は確保できた。水は十分にあるし、不快な昆虫もおらず景色も申し分ないが、何せ崩壊した大岩壁の下であるから落石の危険は免れることはできない。岩屋の下だけは落石した形跡がなかったので「まあ大丈夫やろ」と思ってツエルトを張り、お茶を飲んでまったりと時間を過ごしていると頭上を石ころが飛んで行ったようであった。確かに我々の上には落ちてこないが、あまり気持ちの良いものではない。3時頃からは日も差すようになり、俄然暑くなる。中アの山々や御嶽が見え出してきた。天気予報は明日、明後日晴れに変わった。明日の宿泊予定地の水場も大丈夫との情報がB班から送られてきたので荷物が3㎏以上軽くなる。夕方になって関西の2人パーティが上がってきて我々の隣にテントを張った。
    翌日は明るくなってからのんびりと出発。快晴。ルートは沢の左岸側に所処に目印のテープがあり、そのルート上は意外と歩き易い。時々ルートを外すとひどいガレを通ることになる。下るのは相当気を遣うことだろう。鋸岳の山頂からは千丈ガ岳、北岳など南アの山々、中ア、御嶽、北ア、八ガ岳、浅間、奥秩父の山々の大展望を楽しむことができた。戸台の駐車場で出会った2人パーティにここで再会。B班の様子を聞いた。B班とは小ギャップを越えた鹿ノ窓の手前の小ピークですれ違った。鹿ノ窓と第2高点間の核心部の情報をもらう。小ギャップは下り、登りともに鎖が掛けられているが、ルートの近傍にまっすぐに垂れ下がっているだけなので、上り下りし易いところを通ろうとすると鎖から手を離さなければならない。その通過は結構いやらしい。
    鹿ノ窓は稜線にぽっかりとできた直径2-3mほどの穴である。この穴を通って稜線の反対側に出る。ここから第2高点の間が今回の山行の核心部である。まずは鎖を使って20mほどルンゼを下り、さらにルンゼの右岸の草付きを延々と下る。そこからルンゼを渡り(このルンゼを渡るポイントはかなり下の方である。上の方にもトラバースできそうな箇所があるがそこではないようである。)対岸の岩棚に沿ってトラバースして行くと大ギャップ(第2高点と第3高点の間のコル)から降りてくるルンゼに出る。ルンゼ内は石が詰まったガレ場で上方には大きな岩が引っかかっていて、今にも崩れてきそうである。先行者に釣られてルンゼを下るが、第2高点に向かうはずのルートが見つけられず間違いに気づいた。ルンゼの上方に少し上り返すと明瞭な踏み跡がありルンゼの底から這いあがって一息付く。あとは踏み跡に沿って第2高点まで登る。第2高点から中の川乗越まではガレた急なルンゼの中を下る。左岸側の壁伝いに200m位一気に下る。今回の山行中一番しんどかった。あとは割と真っ当な登山道を歩いて六合の小屋に到着。1名の登山者が先着されていた。一服後Y.O君が水くみに出かけた。なかなか帰って来なかったが水場への道がわかりにくく、かつ悪かったようだ。
    最終日は10時発のバスには乗車したかったので余裕を見て4時出発とした。甲斐駒ガ岳の頂上付近は大きな岩がゴロゴロとしていてルートがわかりにくかった。頂上では富士山がよく見えた。黒戸尾根方面から団体さんが上がってきた。聞くと静岡の高校の山岳部とのこと。27人の生徒さんと2人の引率の先生。生徒さんの方はよく訓練されているようにお見受けした。先生方はさぞ大変であろう。同じ北沢峠に向けて下ったが、最後に抜かされてしまった。北沢峠では大勢の登山客がバスを待っていたが、次々に臨時のバスが出ていくのでさほど待つこともなく乗車できた。仙流荘でB班に合流し帰路についた。
    今回のコースは人が少なく、天気も最高であったので大いに楽しむことができた。かなり危険な部類のルートではあったが何事もなく無事に山行を終えられたのはメンバー一人一人がそれぞれにルートの記録や資料を読み、備えが十分にできていたからであろう。

    【今回気付いた点】
    ・ガレた場所を歩行する場合は石を落とさない様注意が必要。(特に他のパ-ティ-がいる場合)
    ・通常ストックを持たない方でも渡渉又は、長い下りがある場合バランスを取るためにストックは必要
    ・角兵衛沢の岩小屋でのビバークはオススメできない。安全な岩屋根の下はテント一張り程度。
    ・岩小屋、六合小屋共にdocomoの携帯がギリギリ入る。B班とLINEで情報交換ができた。