穂高連峰縦走 (個人山行)

    【日程】2021年7月29日~2021年7月30日

    【行程】

    28日 新穂高登山者無料駐車場着(車中泊)

    29日 8:30ロープウェイ9:00-新穂高口駅-12:15西穂高岳-13:50間ノ岳-15:15天狗のコル-16:25ビバーク

    30日 5:00ビバーク地-5:50ジャンダルム-6:55奥穂高岳-10:05北穂高岳-13:25南岳小屋-15:45槍平小屋-16:45滝谷-18:05白出沢出合-19:23新穂高温泉=広島(パーキングエリアで朝まで睡眠)

    【参加者】1名

    【登山概況】 リーダー(Y・O)

    馬の背あたりから見たジャンダルム方向

    久しぶりのソロ、初めての穂高。数年前に明神池から見た穂高連峰のギザギザのいつまでも記憶に残っていた。あんな場所を歩く事ができるのだろうかとずっと思っていた。9月に穂高の滝谷を計画している。その前に歩いた事がない穂高の山容を感じておこうと思い今回の山行となった。元々の予定は29日天狗のコルでビバーク、30日に南岳付近でビバークし31日に下山予定だったが思ったより順調に進み1日短縮する事ができた。初日は雨の中スタートをする。初めて乗る最新式のようなロープウェイに感動、あっという間に標高をあげ新穂高口駅に着いた。のんびりしていると同乗していた登山者はみんな先に行ってしまった。いよいよ山行の始まりだ。幸い、雨も止んだようでガスはあるがワクワクしながらスタートする。親子三代で歩いている人やソロの登山者も多い、殆ど誰にも追いつかず西穂高山荘に到着、都会の人は足が速い、山荘に到着してすぐに雨が降り出す。小降りだが先は長く身体を濡らすわけにはいかない。上下雨具を着込み少し休憩して出発。このあたりから大きな岩が出てきてガスの西穂丸山に到着、ガスの中、荒々しい岩稜帯が続き何度もピークを踏みながら西穂高岳を目指す。独標を越えたあたりで強い雨が降り、一瞬、進むのを躊躇したが、無事に西穂高岳のピークにたどり着く。大雨が降った時に引き返しますと行っていた登山者も休憩していると追いついてきたので暫く談笑し、私は先を目指し登山者は来た道を戻っていた。ここからは翌日の馬の背まで誰にも会うことがなかった。間ノ岳あたりからガスが切れ始め空には青空が見え始める。逆層スラブも慎重に越え、天狗の頭から下って行くと、1日目の目的地、天狗のコルに着いた。そこに建っていたであろう標識は風雪に耐えられなかったのかバラバラになり壊れていた。そこにあるはずの岩小屋跡も、じっくり見ないとわからない程、崩れている。ここでビバークをしたくないという気持ちと、せっかく雨が止んでいるうちに、もう少し進んでおきたい。暫く休憩して16時過ぎにはビバークする場所を決めようと決め出発をする。1時間ほど進むと標高も3,000mに近づく前方に特徴的な岩稜が見える。初めて見るジャンダルムだ。そろそろビバーク地を決めないとジャンダルムまで着いてしまう、次に見つけた適地でビバークをしようと決め岩稜を登り着るとツエルトが3張りぐらいは張れそうなフラットな場所に出た。風当たりがよさそうで不安が過るが、少し前に見た予報では夜間は風が落ち着く予報。先に進みビバーク適地がないまま日が落ちるのもイヤなので早速、ツエルトを張り始める。まあまあ風が強く張っている途中に飛ばされないように気をつける。夜間の強風にも耐えられるよう、スリングもカラビナもそこら辺の石も全部使い、風向きも考え完璧に張る。漸く落ち着いて腰を下ろす。360℃絶景で気持ちいい。外にいると薄着なので少し寒い。灼熱の広島が嘘のようだ。寒いので、ツエルトに入りお湯を沸かしウィスキーを2杯ほど呑む、美味い!落ち着くと眠たくなってきたので急いで食事を作り夜飯を済ますと、そのまま寝ていた。起きると時間は19時、外はまだ明るく先ほどまで吹いていた風はとまり虫の声だけの静かな時間が始まった。予報通りだと安心し、ゴロゴロしていると21時頃から風が強くなってきた。この風は結局、朝まで泊まる事はなく、しかも濃い濃霧にも包まれツエルトの内部は結露が酷く、風に煽られては水しぶきが顔にかかるという状態が朝まで続き、結局3時半まで一睡もできなかった。こういった状況でも眠れる強い心が欲しい。

    4時半頃には出発準備が出来たが濃霧であまり先が見えない。ルートをロストしたくないのでもう少し明るくなるまで待つことにする。5時出発、1時間ほどでジャンダルム到着。途中、もっと良いビバーク地がたくさんあった。まあ初めてなので仕方ない。ジャンダルムは尾根続きで行かれないのも初めて知る。ロープがあれば別だが。ジャンダルムで天使の写真を撮り、また登ってきた岩を降り奥穂方面に向かうと馬の背に出た。向こうから久しぶりに登山者見える。事前の調べで怖い場所とあったが、ジャンダルム側から進むと登りになるからか、あまり怖いと思う箇所はなかった。このあたりから、前方から登山者がくるたびに一旦待機になるが仕方ない。映画で見た事のある奥穂高岳山頂到達、昨晩からずっと考えていたコーラが飲みたくて、早足で奥穂高山荘を目指す。小屋とヘリポートが見える急峻な岩稜を降りヘリポートに出ると2人の男性が話し掛けてきた。岐阜県警の方でいろいろ話しをする。頭の中はコーラでしたが(笑)ザックを置き小屋に入りやる気の無さそうなバイトの若者にコーラを注文、500円!判ってはいたが高いですよね~。この1本のコーラを下山まで少しづつ大切に飲みました。暫く休憩して、先を目指す。涸沢岳を越えエスケープルートを偵察したりしながら進んで行くと最低のコルに到着、なぜ「最低」なんだろう?このあたりから9月に考えている滝谷の偵察にしながら進む。滝谷4尾根がどれなのか?はっきりと確信が持てないまま、写真を撮りまくり進んで行くと北穂に到着、人工的に作られたヘリポートのような頂上だ。ほぼ同じ高さに北穂小屋、長くいるつもりは無かったが、小屋の人と登山者と喋ってたら、焙煎の超美味しい珈琲まで頼んでしまい、思わぬ長居となった。ここから走るように進んで行こうと思ったが、これまでより厳しい岩稜が続く。長い長い下りやアップダウンが続き、悪名高い大キレットに着く。ここも、結局どこが怖いのか判らないまま越えて行ったが、このあたりから少し疲れてきて前方に見える南岳の400mぐらいの登りに心が折れそうになる。南岳小屋について、疲れ切っていたら、何処かでビバークして明日帰ろう。14時までに着いたら下山しようと地形図を見ながら決め、最後の登りに取り付く。もう出会う人も誰もいない。良かった天気も崩れガスが登ってきた。夕立がまだ来ないように祈りながら疲れた身体で登っていく。稜線に出て少し下ると南岳に着いた。時間は13時半、今、降りれば暗くなっても安全な林道まで降りる事が出来る。疲れてはいたが、まだまだ行けそうなので休憩も無しで槍平小屋を目指す。この約1,000mの下りが悪かった。南アルプスの大門沢の下りを思い出した。少々、悪いのは良いのだが、私の嫌いのブヨが凄いのだ。疲れて休憩したくてもブヨ凄いので停止したくない。結局、槍平まで無休憩で下り小屋の横のベンチで少し休み無料の水をガブ飲みする。時間は15時45分、予定通りだ。16時まで休憩し安全圏の白出沢の出合を目指す。ここからは道は良く整備されているが似たような雰囲気が延々と続く沢沿いトラバースルートで飽きてくる。藤木レリーフで合掌し進んでいくと滝谷出合に出た。9月に行く雄滝が見える。デカい!あんな処を越えて行けるのだろうかと不安と期待が入り交じる。仮設橋で渡渉し白出沢を目指すが、ここからも長かった。明るいうちに林道到達。時間は18時、暗くなるまで、あと1時間はある。漸く安心しザックを降ろし休憩、ストックを片付け、ヘッデンと傘を出して最後の区間に出発。ここまで来れば、なんとか雨が降る前に降りてしまいたいが、疲れた足のペースは遅い。なるべくGPSを見ないように黙々と歩く。景色もなくただの林道だ。暗い中を歩く方が気が紛れるのではないかと思う。そして、ほぼ白出沢からのコースタイム通りで昨日出発したロープウェイ乗り場に到着。時間は19時30分、あたりはもう暗く最後はヘッデンの下山となった。1泊2日、穂高連峰の縦走、本当に面白かった。天狗のコルで暫く誰にも会わず、荒々しい岩の間で休んでいると急に笑いが出てきて楽しくなって久しぶりは叫んだ。やっぱり1人の山も時々、やらないといけないと改めて思った充実の山行でした。

    写真右が北穂 南岳に伸びる稜線

    1日目 漸く雨が止みふり返ると稜線が見えた

    北穂小屋で本格珈琲500円