アルパインユース個人山行<奥秩父・小川山(フリークライミングとマルチピッチクライミング)>

    【日程】2025年5月3日~6日
    【行程】
    5/3 マラ岩・姉岩にてフリークライミング
    5/4 セレクション・レモンルートでマルチピッチクライミング
          屋根岩2峰・ソラマメスラブエリアにてフリークライミング
    5/5 烏帽子岩左稜線でマルチピッチクライミング
    5/6 帰広
    【参加者】6名(内会員外1名)

    【登山概況】リーダー(T.Y)
    5月3日 晴れ
    6時20分頃に廻り目平キャンプ場に到着、すでにたくさんの車が駐車されており、その多くがクライマーのようだった。小川山の人気を改めて感じる。手早くテントやタープの設営をした。
    7時30分頃、マラ岩・姉岩エリアに向かって出発。渡渉が途中にあるのだが、前日の雨で水量も多く、なんといっても冷たい!アプローチシューズと靴下を脱いで水に浸かりながら渡ったが、HとTが見事に足を滑らす。いったいなんの罰ゲームをしているのだろうかと思いながら渡った。初日の一番の核心は恐らくここだった。
    マラ岩にて「レギュラー5.10c」「川上小唄5.8」を登る。マラ岩の上(正確にいうとマラ岩のてっぺんには登れない)は景色が良く気持ち良い。
    姉岩に移動、試験シリーズ「卒業試験5.10b」「センター試験5.9」「入学試験5.10c」その他「ハラペーニョウルトラHOT」等を登る。
    個人的に入学試験5.10cをRP出来、グレード更新が出来たのが嬉しかった。入学試験はドスラブ課題で、恐らく左に逃げると簡単になってしまうので、ピン沿いに真っすぐ登るが、とにかく細かいスタンスに足を乗せてバランスを取るのが怖く、緊張が凄かったがRP出来ホッとした。

    5月4日 晴れ
    本来はこの日に「烏帽子岩左稜線」のマルチピッチクライミングをする予定だったが、強風予報だったため、翌日に予定していた「セレクション」と「レモンルート」のマルチピッチクライミングに切り替えた。セレクション組「T・I.H」「I.A・H」レモンルート組「M・会員外」
    レモンルート組と途中で別れてセレクション組が取り付きに着いたのが8:00頃で準備をしたのちH・I.Aペアが先発して8:20頃、Hリードでクライムオン。H・I.Aペアは順調に進んでいったが、T・I.Hペアは序盤から苦戦、Tが1P目リード、グレード5.7の5mほどのクラックだったが、途中でジャミングが利かないポイントが出てきてそこを乗っ越すのがしんどかった。2P目もTがリード、5.8のスラブルートだったが、ところどころに小さな穴ぼこがあるので指やら足やらを置けるが、ピン間隔が遠いのでかなり恐怖だった。また4P目でピッチを切る場所を間違えて本来なら5P目となるルートの途中で切ってしまったため、その後の5P目のルートを間違えてしまい、本来の5P目と6P目のルートをすっ飛ばして頂上へ出てしまった。セレクションの一番の醍醐味?のルートを登らずに終わらせてしまったのが悔やまれる。またここはリベンジしたいと思った。まだまだルート読みの力が足りないと思ったので改善していきたい。頂上は天気も良く景色も良かったが、強風のためものすごく寒かった。レモンルートを登攀していたMペアが見えた。レモンルートもなかなか手強そうで苦戦していた。その後近くのラッペルポイントから懸垂下降をして取り付きまで戻る。
    昼休憩を挟み、H・I.Aは屋根岩2峰の「コグレ大サーカス5.10c」等を登り、T・I.Hはソラマメスラブエリアにて「マイルドタジヤン5.8」「ワイルドタジヤン5.10c」等を登り、15時30分頃に切り上げてキャンプ場へ戻る。初日にも感じたが、1ピン目が遠いルートが多い、なかなかスリリングであった。

    5月5日 晴れ
    今回の遠征のメインイベント「烏帽子岩左稜線」のマルチピッチクライミング。18ピッチもあり長丁場が予想されるので早朝5時にキャンプ場を出発、風が強く寒かった。風は徐々に弱まる予報であったが不安になった。初日と同じ場所で渡渉をするが、初日よりも水量が少なく、岩伝いで渡る事が出来た。
    取り付きまでの登山道はガレ場続きで、足元があまり良くなかった、朝イチでのガレ場の登りはしんどかった。取り付き到着時刻は5時40分頃、すでに先行パーティがいるらしく声が聞こえてくる。この日のロープの組み合わせは「M・会員外」「H・I.H」「I.A・T」
    Mペアが先行で6時10分頃クライムオン、順調に登っていき、次発のHペアがHリードで1P目を順調に登って行ったかと思ったら、姿が見えなくなった後にロープの動きが止まる。どうやら先行していたパーティが寒すぎるという理由で撤退するために懸垂下降で下りてきているとの事。下で待機していた私達も強風とあまりの寒さで撤退の2文字が浮かぶ。結局撤退は選ばず進んでいったが、私達が稜線に出る頃には風も弱まり、太陽も出てきて気持ちの良い気候となっていた。朝の寒さを耐えて良かったと本当に思った。スラブにフェイス、リッジにクラックと色々な要素が詰め込まれており、とても登りごたえがあった。リッジのピッチは絶景だった。しかし5.5程度のグレードのピッチでも高度感があるためなかなか怖かった。他に印象的だったのは12ピッチ目の10メートルぐらいあるクラックの箇所。左側から周って回避も出来たが、全パーティが挑戦。ここも高度感があるので怖いが、ハンドジャムとフットジャムもしっかり決まる。疲れたが面白いピッチだった。この後の14ピッチ目で20メートルほどの懸垂下降があるのだが、ここで下りる地点を間違えて、15ピッチ目ではなく、エスケープルートの方へ下りてしまった。軌道修正のために登った所がなかなか狭くて怖いところだった。最終ピッチの5.8のチムニーは事前に手強いと聞いていたが、右から周って回避できると聞いていたので、H・I.Hペア以外は登らなかった。チムニーはHがリードで登り、I.Hがフォローで登っていたが、今までに見たことのないしんどそうな顔で登っていた。体の大きい人にはきついピッチだと思う。「地獄だった」との感想。右から周るルートはロープの流れが悪くなるので1回ピッチを切った。頂上へ登って行く箇所は若干岩が脆く危ないと思った、なかなか簡単に登れるような感じではなくグレード的には5.7くらいかなと思った。15:00頃全員が頂上へ到着、みんなで握手。皆事故もケガもなく無事に登頂出来て安心した。達成感で満たされる。人気のルートのため渋滞も予想していたが私達以外は後続の1パーティのみでサクサクと登れたのでそれも良かった。

    5月6日 雨
    予報通り朝から雨、皆6時前には起床して雨が強くなる前にテントやタープの片付け。7時過ぎにはキャンプ場を出て帰路につく。
    全体の感想として、最終日は残念でしたが、ずっと天気が良く、岩も良く乾いていて楽しくクライミングが出来たのが良かった。そして何より皆怪我も無く終われた事も良かった。3泊4日という長期で会員外のメンバーも含めると6名という人数でのリーダー山行だったので不安はあったが、事前の計画書を作成する段階からアドバイスを色々ともらい、皆に助けられた3泊4日だった。このメンバーでゴールデンウィークを小川山で楽しむことが出来て本当に良かった。個人的にはルート読みのミスや、ロープの流れを悪くしてしまうような支点の取り方をしてしまったりと、細かい反省点がたくさんあったので改善していきたい。

    【ヒヤリハット報告】
    2日目のセレクションの4ピッチ目にて、Tがリードで登り、I.Hのビレイをしている際、ロープの流れが悪く、とても重い。ロープをきちんと引き上げているつもりだったが、ロープが途中でスタックしておりフォローのロープがたるんだままだった。トランシーバーの調子が悪く声が届かない状態だったため、一部分ではあったがフォロワーはロープが張っていない状態での登りを強いられてしまい、かなり不安にさせてしまった。ここのピッチだけでなくリードで進んでいくとロープが重くなる事が多々あったので、ロープの流れを考えながら支点を取っていくように気を付けなければいけないと思った。

    【感想】サブリーダー(I.A)
    3回目の小川山遠征でした。過去2回は打ち込めるフリーのルートがあって充実感ありましたが
    今回は打ち込めるようなフリーのルートが無く、なんだか不完全燃焼で物足りなさを感じました。
    ただ単に力不足なだけなので、もっと強くなりたいなと思いました。
    でも、昨年ワンテントップアウトで終わっていた卒業試験5.10bは余裕をもってRPできたので昨年よりは登れるようになっているのかな。
    マルチは美味しい所をリードできたので満足していますが、最後の大チムニーは直下までいってルートをしっかり見ておくべきだったと後悔しています。
    でも、チムニーを回避したルートはアルパインチックで楽しかったです。
    GWの小川山は寒いので、来年は宮崎比叡へ行くのも良いかなと思いました。

    【写真】