雪崩、積雪期レスキュー研修会<深入山>

    【日程】2025年1月19日(日)
    【参加者】19名

    【雪崩レスキュー研修会概況】(担当:Y.T)
    毎年、雪崩レスキュー研修会の日は、積雪不足に悩まされるが、今年は、当地にも、十分に雪が積もった。
    参加者は19人で過去一番多い人数。担当としては身が引き締まる。
    例年のごとく、以下の内容で実施した。
    ・ビーコンの装着、グループチェック
    ・ビーコンの電波に慣れる
    ・サーチトレーニング(コースサーチ、ファインサーチ)
    ・プロービング、シャベリング
    ・シナリオトレーニング演習
    長時間にわたったが、みな、最後まで集中力を切らさずに、トレーニングに励んでいた。
    最初のシナリオレスキューでは、みな、目前の要救助者のことで頭がいっぱいになり、周りの方との連携やリーダーシップなど、課題も多いと感じたが、参加者自身が課題を感じ取り、2回目は、多くの点で、チームとしての救助能力に向上が見られた。
    雪山に入るときには、雪崩三種の神器(ビーコン、プローブ、スコップ)の持参が必要と言われているが、道具を持っているだけでは意味がなく、それらの道具を使いこなし、チームが一体となって行動できることが必要だ。もしものときに対応できるよう、今後も定期的にトレーニングをして欲しい。

    【積雪期レスキュー研修会概況】(担当:K.N)
    雪崩レスキュー研修会終了後に参加人数が少なかった積雪期レスキュー研修会を合同で行なった。研修会終了予定時間までは約1時間。梱包搬送はロープワークを使うので、今まで講習会で勉強された方とコーチ1の資格を持つ方7名で実演をしてもらう。

    梱包作業最初のクローブヒッチの段階で思ってた以上に時間がかかり、さらにシートベントで時間がかかる。梱包方法を忘れて時間がかかるのではなく、ロープワークでここまで時間がかかるのは想定外だった。それでも何とか資料を確認しながら梱包作業を終え、ロープとスリングを使い搬送を行うことができた。

    実演をして頂いた作業を見ていた感想としては、雪崩講習会の時もそうだったが、やはり目の前の作業に夢中になりすぎて要救助者のことが頭から消えることがある。やはり第一に意識しないといけないのは要救助者であり、この方を素早く安全な場所へ移動させる、且つ痛めた心や身体のケアもしてあげる方法を現場で考えなくてはいけない。この辺りは雪崩講習会で分かっていたので事前に意識付けができたのではないかと反省。

    研修会終了時間まで残り10分。残されたわずかな時間で、事前に準備していたツリーホールを使った縦穴でのビバーク方法を紹介する。ビバーク場所は雪崩地形ではないか、木の上の雪は大丈夫か等の安全確認の重要性を説明したところで研修会終了の時間となった。

    レスキュー研修会の参加希望をして頂いた方にはわずかな時間で申し訳なかったが、今までこういった搬送などを見たこともない人にとって良い経験になったのではないかと思う。
    レスキューに関しては技術を覚えてもらう事と合わせて、搬送というのはとても大変な事なんだというのを参加者の方が感じて頂ければよかったと思う。

    【感想】(N.E)
    晴天の朝、白一色の雪の世界に空の青がよく映える。集合場所の深入山には、朝早くにもかかわらず、もうすでに登山者がたくさんいて山を登り始めていた。登山者を避けた場所で研修会が始まった。
    まず、ビーコンの使用方法の説明があった。リーダーの説明は丁寧で分かり易く、遠くにいても聞き取りやすかった。実際にビーコンを装着してみる。初めて着けるビーコンは思ったより軽く、体に違和感はない。リーダーから「ビーコンをせんどにして下さい」と指示があった。なに、せんどの意味は千度?鮮度?日本語が見当たらない。ああ、SENDか。いきなり日本語から英語への変換でちょっと戸惑う。スイッチはSENDとSEARCHがあり、この2種類を使うようだ。さほど操作は難しくない。次にビーコンを雪の中に埋めて探す練習。これはおもちゃのリモコン操作のようで面白かった。しばらく練習を繰り返した後、早めの食事休憩をする。12時前あたりから空に灰色の雲が広がり始め風も吹き、体が冷える。持ってきたホッカイロで体を暖めながら後半の訓練開始。今度は、ビーコンとプローブという道具を使って雪崩に埋没した遭難者を探すという想定。遭難者は手作りの人形だ。先攻と後攻のグループに分かれて、お互いのやり方を見て良い点と修正点を話し合う。
    遭難者が1人という想定の時は、わりと冷静にビーコンで位置の特定や、プローブを立ててシャベルで遭難者の掘り起こしもできた。次に遭難者が2人になった場合の捜索練習をする。1人目を見つけたところまでは良かったが、2人目がなかなか見つからず焦ってしまい、ほとんどの人が2人目の捜索に向かってしまい、1人目の体の状態確認が疎かになってしまった。早く遭難者を見つけたいと思う心が冷静さを失わせる。反省点は多々残る。
    最後に、雪を利用したビバークの方法と、救助者の搬送の仕方を教わった。搬送の際のロープにはシートベントとクローブヒッチを使うということで結び方の再確認。
     今回の研修を受けて新たに知ったことは、たとえ埋没者の真上に立っていたとしてもビーコンの距離値はゼロにはならないということだ。なぜなら埋まっている深さにも数値があるから。それと、プローブを立てたいくつかの場所の、深さの目盛りの数値の違いを覚えておかないと、埋没者にヒットしたかどうかもわからなくなるということだ。ビーコンもプローブも便利な道具だが、道具が伝えてくれる数値の情報を的確に読む冷静な処理能力が必要だと認識させられた。どれも実際に役に立つ研修内容だった。本番さながらの訓練ありがとうございました!

    (T.K)
    今回初めて研修会に参加しました。
    私自身、雪山の経験も皆無に等しく、ビーコンの使い方や要救助者への対応等、初めて知ることばかりで、全てにおいて勉強になりました。

    実際に雪崩がきた想定での救助活動では、頭では分かっていても実際に行動に移したとき、思うように活動できないと身を持って感じることができました。
    特に初心者の私は、他の参加者に比べて経験がないため、足を引っ張り気味だったと思います。

    そんな私でも安松様はじめ、指導部の方が丁寧に教えてくださり、緊張感を持ちつつも、リラックスして取り組むことができました。

    今回の研修会で100%吸収できたわけではありませんが、終日を通して経験したことを
    今後活用できるようにしていきたいと思います。


    【写真】

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