アルパインクラブ(ユース)夏沢合宿<大崩・祝子川>

    【日程】2023年8月11日~13日

    【行程】

    8月11日 広島=上祝子登山口近くにて前泊

    8月12日 07:05前泊地=07:20上祝子登山口-07:50大崩山荘-08:30祝子川徒渉点入点-

    12:15二条の滝(撤退)-ゴルジュより少し下で登山道へ-14:30登山口゠ビバーク地

    8月13日 ビバーク地゠広島

    【参加者】:5名

     

    【登山概要】リーダー O

    出発前の10日まで台風6号の影響で宮崎県は風雨共に強く、避難勧告まで出ていた。中止か紀伊半島方面
    の沢に変更も考えたが初日の足慣らしで考えていたサマン谷を中止にして出発を1日遅らせ、とりあえず行ってみようという事になった。10日の昼過ぎの時点で祝子川登山口近くの水位計をネットで調べると1.55mだった。80センチを超えると大崩山に向かう一般ハイカーには湧塚分岐の徒渉は難しいとネットに出ていた。ひとまず水位計が80以下になれば、なんとかなるのではないかと祈りながら広島を出発した。11日の夕方に上祝子登山口の少し手前の快適なビバーク地に到着、延岡市内から十数キロの祝子川沿いの細道は台風の影響で折れた木と落石に溢れ、山の斜面からは滝のように水が流れていた。拾った薪も流石に水が染み込み過ぎていて食事を作るのに苦労したが、遅くまで前夜祭は盛り上がった。夜、水位計を見てみると93センチとなっていた。翌日は5時半頃、ゴソゴソと起きだし巨大な特製ホットサンドを頬張り7時過ぎに出発、水位計は71㎝まで下がっていた。すぐに登山口へ到着し入渓地点に向け登山道へ入った。登山道も折れた木と青い落ち葉で溢れていた。谷から聞こえる水の音は大きく、時々、木々の間から見える沢は、とても入渓できる感じではなかったが入渓地点へ行ってから判断する事にする。8:30登山道から川へ降りる。昨年は広い河原があり、そこで装備を装着したが、同じ場所は完全に水流の中だった。祝子川は巨大な石が多く、幸い石伝いに進む事ができるので、すぐに行き詰まる可能性は高いが進める処まで進んで見る事にする。左岸には、まだ登山道が続いているし、いつでも撤退はしやすい。空は曇りだが、充分に美し渓相を楽しみながら、激しい水流を交わしながら、次の大きな石を超えたら、次はどんな景色だろうと思いながら進んでいく。流されたら大変だろうと思う場所ばかりなので、とにかく水になるべく入らないようにルーファイをしていくが昨年、最初にロープを出した手前ぐらいで進退窮まった。ゴルジュの中に二段になった滝があり水流も激しい、左岸から微妙なバランスでいけそうな気もするのだが、全員が上手く通過できるかどうかわからいので、ここで撤退をしようと提案するが、ダメ元でKがチャレンジを申し出る。失敗して流された場合のイメトレを行い、ロープが絡まる可能性も高いので、確保は行わずフリーでアタック、右岸側に飛び移り激しい滝の中に足を伸ばし突っ張りながら、見事、安全地帯まで移る事ができた。一度、撤退を決めたのだが上流からロープを張り一人一人、難所を越える事ができた。ここからの渓相が祝子川らしくなってくるのでKのファイトに皆で感謝。そこから昨年は滑り台をしたり飛び込んだりした大きな釜やジャクジーのような窪みがたくさん現れるが、とても飛び込める雰囲気ではなく眺めるだけで通過する。ついにゴルジュに入ってきた。ここまで来たら、なんとか二条の滝までは進みたいという気持ちが強くなってくるが、いつでも撤退できるように考えながら進んで行く。どの岩もラバーソールがバチ効きで強い傾斜のスラブでも登っていける。祝子川はやはりラバーが良い。水流を交わす為にルーファイを駆使しながら、遂に二条の滝を到達した。轟音で二つに分かれた滝が大きな釜を作っている。水が少ない時は登攀が可能だそうだが想像ができない。右岸にある巻きルートの岸壁スラブには1年前になかった下部の支点がリボルトされていた。左岸からも大雨の後でしか現れないであろう滝が落ちてきていて美しい、暫く休憩し、遂に撤退を決めた。先に進んで30㎝ゴルジュを見たいという気持ちも強かったが、これ以上進むと進退窮まった場合、撤退が難しくなる。後ろ髪を引かれる思いで、遡行してきた川を下り、途中から左岸の斜面を20mほど登り、登山道へ復帰した。ビバーク地に戻り、だいぶ乾いた薪に火を着け豪快な料理で最後の宴を楽しんだ。やはり祝子川は楽しい、来年は最後まで抜けようと皆で誓いあった。
    ps
    料理長Kの手際よい料理進行と、豚キムチ、山賊焼き、ホットサンド、ポップコーン、味噌キュウリ、
    お茶漬け、どれも最高でした!メニュー考案から実際にやってみることの難しさもあると思いますが、山と
    は思えない飽きることのないバリエーションメニューありがとう!
    【ヒヤリハット報告】
     帰広後、一人がマダニに噛まれている事が判明、祝子川に入る前に八面山でクライミングをしているので、祝子川で噛まれたか、八面山で噛まれたかはわからない。気づいた後、病院で切除してもらう。