アルパインユースクラブ7月例会<大峰山系 神童子谷>
【日程】2021年7月31日~8月1日
【行程】7/31 5:00神童子谷林道5:30—6:00神童子谷林道終点6:30—7:00神童子谷(河原)—11:00赤鍋滝11:15—14:00ノウナシ谷出合(幕営)
8/1 ノウナシ谷出合7:05—7:50一ノ滝8:00—10:00ジョレンの滝10:30—13:20赤鍋滝13:25—14:00神童子谷(河原)14:15—14:30神童子谷林道(駐車場所)
【参加者】3名
【登山概況】 例会担当リーダー(T)
今回の例会は、新入会者の方が参加しやすい様に、登りのグレードが高くなく、初心者向けのルートである事と以前から大峰山系の沢に行きたいと思っていたのでこの2つをクリアーした山行にしようと考えていた。そこで、関西でも人気があり美渓で名高い神童子谷に決定した。また、大峰山周辺は信仰の山域でもあり女人禁制の結界エリアもある。沢を詰めた後、稜線まで出たかったので計画は神童子谷→犬取谷→稲村小屋→上サンゴウジ谷を降り神童子谷へ→下山の予定とした。
仕事終わりに広島を出発し大峰の麓に着いたのは4:30過ぎ。神童子林道に入ると車一台がやっと通れるほど幅員。所々落石が点在していた。林道終点手前で土砂崩れがあり、少し手前に駐車。すでに三台車が駐車していた。関西屈指の人気沢なのでもう少し混雑しているかと思ったが案外少ない印象。装備の最終確認と着替えを済まし6:30出発。バリケードを越え500m程歩く。関西電力の施設を過ぎると林道終点となり橋がある。そこから踏み跡を頼りに谷を下っていく。最後に鉄製の梯子を降り河原に出て入渓。中国地方の沢に比べると水温は低い。入渓してすぐにトガ淵に。まだ谷に光が差し込んでいないので暗いが,既に大峰ブルーの片鱗が見える。この淵はいきなり朝イチで泳がされるうえに対岸がつるつるで上陸に非常に苦労した。そこから「へっついさん」までは奇麗なナメが少しと短いゴーロ帯が出てくるだけ。噂の「へっついさん」も両岸の壁が押し迫り、ゴルジュの迫力はあるが水深は深い所でも膝上位で少し期待外れ。ただ増水時は水位がかなり増すそうなので注意が必要だ。「へっついさん」からほどなくすると、大釜を湛えた赤鍋ノ滝5mが現れる。右岸壁は垂直で左岸はツルツルの傾斜をしたスラブ壁。ここは嫌らしいが左岸壁をへつる。補助ロープも設置されているので安心だ。すぐ上で流れは二分し右側は50cm位の岩棚が2つ続き左側はナメ滝状の流れ。左側は下部からツルツルの岩盤だが思った以上に簡単に通過。これで滝場を抜け、しばらく穏やかな流れを遡る。左岸には小屋跡の石垣がある。右岸側だけに続く岩壁を割るような形で上サンゴウジ谷が出合う。下山はこの谷を下って来る予定。下調べでは小滝が多く出てくるとの情報だったが、見た感じあまり水量は多くなさそう。その後、しばらくゴーロ帯が続き小滝を越えてほどなくすると写真で見た景色に出た。「釜滝だ!」。釜滝(6m)は稲村ヶ岳の犬取谷と大普賢岳へ続くノウナシ谷の2つの谷から水が注ぎ込まれている。釜は足が届かないほど深く、水深2mはありそう。ここは左岸から高巻く。上から眺めるとノウナシ側の滝は大釜に2段に落ちる様になっていた。午後の光の中で水はさらに青みを増している。上には広い幕営地があり、どこでもテントが張れそうだ。各自ツェルトを設営して初日はここまでとした。焚き木の確保を済ませ少し時間があったので各自、夕食まで釣りタイムとした。17:00頃夕食を食べていると夕立が来た。激しい雨が1時間位続いた。暗くてよくわからなかったが激しく水が流れる音がしたのでかなり増水していたと思われる。
二日目、朝は晴天だったが午後から天候が崩れる予報だったので稲村小屋まで登り詰めずに途中のジョレンの滝を見て引き返す計画に変更した。右の犬取谷に進路を取り進むとすぐに伏流でゴーロの小笹谷が出合う。
その少し先に細い釜を持つ二ノ滝(5m)がかかる。この滝を右から巻き越え、岩間の2m程の滝を二つやり過ごすと、今度は一ノ滝(8m)が出てきてこれも右から巻き越える。このあとしばらくゴーロ帯へ入り、小滝を幾つかけて行くと右からレンゲ坂谷の入る二股を迎える。ここからナメ床になった左の本谷を行く。小滝やナメが連続して気持ち良い。最後にゴーロ帯を越えると30mのジョレンの滝が姿を現した。滝の落ち口からは見えないが二段の滝になっているそうだ。写真撮影をして大休止。ここから来たルートを一気に降る。釜滝まで戻ると人が沢山いた。皆、軽装備だったので、おそらくここで引き返すのだろう。せっかくなので釜滝をウォータースライダーで降ることにした。安松さんが最初に行く。1番目は勇気がいる。ノウナシ側2段に落ちる滝を一段ずつ滑る。上段はぎりぎり足が付くほど浅かった。下段は滑った後は岸まで20m程泳ぐ必要があり冷たく、ギャラリーの視線も感じる。寒さに耐えなんとか泳ぎ切った。冷えた体を温めるため休む間もなく進む。赤鍋滝に着くと下から1人のガイドさんが20人位を引き連れて登っていた。皆、初心者なのか補助ロープをガンガンに引っ張りながら赤鍋のツルツルしたスラブ壁を登っていた。中間でガイドさんが補助しているが、ロープが切れたらどうするのだろうかと心配になる。赤鍋もウォータースライダーで降ることにしたが先ほどの釜滝より距離が長いのでここも怖い。誰が初めに行くかなかなか決まらなかったが結局、井上さんが1番に滑ってみせた。あとはウォータースライダーできる滝はないので大峰ブルーを堪能しながらゆっくり進む。入渓地点で道具を洗い出渓。車に戻り、着替えていると雨がぽつぽつ降ってきた。入渓者は多かったが大峰ブルーは神秘的で一見の価値ありだった。文句なしの素晴らしい美渓だ。絶対に晴れた日に訪れたい。特に釜滝は日の光のきらめきがまばゆいばかり。沢登り初心者の方と来れば間違いなく沢登りの虜になるだろう。