ユースクラブ8月例会<北アルプス 赤木沢>

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    【日程】2019年8月9日(金)~12日(月)

    【行程】

     8月9日  広島19:00=

      8月10日 =5:20亀谷料金所6:15=7:10折立7:45~五光岩ベンチ~10:55太郎平小屋11:30~13:30薬師沢小屋13:55

          ~14:35ビバーク地点(泊)

     8月11日 ビバーク地点5:50~奥黒部廊下~赤木沢出合7:15~9:15大滝9:30~最初の二俣9:50

           ~11:25中俣乗越11:45~北ノ股岳13:30~14:55太郎平小屋15:20~15:40薬師峠キャンプ地(泊)

     8月12日 薬師峠キャンプ地6:30~9:25折立9:55=22:30広島

    【参加者】3名

    【登山概況】 例会担当リーダー(A.T )
     今回の例会は、新入会者の方が参加しやすい様に登りのグレードが高くなく、簡単なルートである事。と沢登りで美しい渓谷が楽しめる事。の2つをクリアーした山行にしようと考えていた。そこで、黒部源流域にある美渓で名高い赤木沢に決定した。仕事終わりに広島を出発し亀谷に着いたのは6:00過ぎ。お盆ということもあり亀谷料金所はすでに50台位車が並んでおりゲートは、はるか先の方。すぐにスタートできる様、待ち時間に荷物確認と着替えを済ます。有峰林道の開通が6:00~だが時間が経ってもなかなか前の車は動かず、逸る気持ちを抑える。10分ほどしてやっと進みだした。林道を45分ほど走って折立駐車場に着いた。駐車場も路肩も車がいっぱい。臨時の駐車場もあるがフルで350台位しか駐車できず満車になったら返されるらしい。ぎりぎり停められてホッと一息。折立の薬師岳登山口のトイレは大渋滞。水場はあるが飲めないので要注意。自販機があるので飲用水を購入し登山開始。しばらく樹林帯の急登をゆっくり登る。1時間半ほど登ると森林限界を越え、眺めのきく緩やかな尾根へと変わった。左側前方には薬師岳が座る。延々と続く木道、見渡す限り草原の様な風景。白やピンクの可憐な花々、綿毛になったチングルマの先に太郎平小屋の赤い屋根が見えた。歩き始めて3時間10分で太郎平小屋に到着し小休止。太郎平まで登りきった後は、薬師沢出合に向けて下る。池塘と薬師岳が目に飛び込む。途中、徒渉点で水浴びをして疲れた体を癒す。薬師岳から流れ出る薬師沢が黒部川と合流するところに、薬師沢小屋はある。本日はこの辺りで1日目を終える。

     2日目は黒部川からスタートだ。赤木沢出合までは何度か徒渉を繰り返し、場所によっては水に浸かりながら進む。また、1箇所高巻したが特に補助ロープは必要ない。間もなくすると、写真で見た景色に出た。赤木沢出合だ!赤木沢出合は美しい長くて浅い淵の小滝が特徴。瀞場になっていて流れがとても静かだ。本流を離れ右側の赤木沢方面へ。赤木沢に入ると、まずは美しい赤色のナメ床が出迎えてくれる。F2まで行くと、1時間早く出発したパーティー(3名)がいた。休憩していると思ったが…少し様子が変だ。近寄って話を聞くと男性1名が右脚を痛めたらしい。固定の応急処置はすでに施されていた。本人は稜線まで上れると言い張っていたが、恐らく骨折しているので救助要請を提案した。携帯の電波が無いので薬師沢小屋まで下るか稜線に上らなければ連絡はつかない。そこで、緊急連絡シートに詳細を記入し、ケガ人の仲間1名が薬師沢小屋まで下り通報に、私達は予定通り山行を続け、稜線で通報する事にした。進んで行くと、今度は階段状になった多段の滝が見えた。この赤木沢を象徴するような滝だ。V字に切れ込んだ斜面には夏の草花が咲き、明るく開けた渓相の奥には北ノ俣岳から黒部五郎岳を結ぶ稜線も見え始めた。雄大な景色にみなが酔いしれる。そして赤木沢大滝(30m)の前に到着。ここで小休止。KさんとAさんが滝の壁を見上げている。登れそうなルートを探っているようだ。休憩を終えて、まず高巻き作業に入る。大滝から少し戻った左岸のリッジに、真っ直ぐ伸びる巻き道がある。私達が休憩している時に、他のグループが登って行ったのでルートはわかっていた。落ちると大事になりそうだがスタンスは良いのでロープは使用しなかった。高巻くと滝口の上に出る。滝の落ち口からは見えないが二段の滝になっていた。大滝を越えると水量と傾斜は徐々に緩やかになっていくが花崗岩と水流の美しさはまだ続く。しばらくすると二股に出る。ここは左に行き少し歩くと、また二股になっていた。トポにはない二股で右か?左か?と皆で議論。議論の結果、左へ。すると沢が枯れた地点で、またまた分岐になる。左に進んで、後から気付いたがこれは右が正解で中俣乗越へダイレクトに到着することができる(最後の枯れ沢の分岐は右が正解)。不正解だったので藪漕ぎ後に中俣乗越をやや東に外れ登山道へ出る。あっという間の沢歩きだった。稜線に出たので電波がある所で警察に連絡。男性は午前中の内に無事救助されたとの事。一安心だ!稜線を4時間歩き無事に幕営地の薬師沢峠へ。お盆とあってかテン場は混んでいた。傾斜地にタープを設営し川の字で3人寝るスタイルにした。夕食の準備を終え、薬師岳の勇姿を眺めながらコーラとビールで乾杯。至福のひと時だ。満点の星空を期待して床に就いた。

     3日目は下山のみなのでゆっくり起床。出発時にはほとんどのテントが撤収していて昨日の混雑はどこへ?薬師岳を背にして朝日を浴びながら帰路へ。途中、登って来る登山者の荷物を見ながら赤木沢ですか?と思わず声をかけてしまった。皆、わくわくしていた。荷物が軽くなったからか下山の足取が軽かった。3時間で折立に着いた。皆でコーラで乾杯し3日間晴天だったことに感謝。本当に終始気持ちのいい沢歩きができた。文句なしの素晴らしい美渓だ。絶対に晴れた日に訪れたい。特に赤木沢出合は日の光のきらめきがまばゆいばかり。連続するナメ大小の滝も見どころだった。沢登り初心者の方と来れば間違いなく沢登りの虜になるだろう。

    【感想】

    (N.K)
     赤木沢は登攀要素では少ないものの北アルプスを代表する名渓であり、北アルプスの沢は初めてのこともありとても楽しみでした。初日の折立からのアプローチは長く最近のトレーニング不足もありとてもきつかったが、幸いにも天気に恵まれて気持ちよく歩く事ができた。2日目も快晴。黒部川から赤木沢出合に進む。赤木沢は噂に違わぬきれいな沢で、晴天の青空と木々の緑と沢のコバルトブルーがとても美しい。沢の難易度も高くなく全て小屋泊も可能なので、沢登り初心者の方も経験者と一緒なら遡行可能でしょう。ただし赤木沢全体は携帯電波が届かないので万が一何かで動けなくなってしまった時などの対策は必要になってくると思う。実際今回もF2上部にて右足首骨折で動けなくなっている人がいて、必要事項を聞いて携帯電波が届くところまで行ったら救急連絡をする約束をして登っています。出来ればこの美しい渓谷を見たことのない人たちに見てもらいたい。そのための知識や技術を勉強してもらい、安全且つ緊急時にも対応出来るようになって沢登りを楽しんでもらえたらと願います。

    (T.A)
     噂に違わず明るく、美しい沢でした。滝も難しくはないけど、落差があり迫力のある滝がたくさんありました。最後の詰めも、高山植物が咲き乱れる中、藪こぎできる幸せ。入渓者は多かったですが、一見の価値ありです。
    普通の登山道は高山でも暑くて大変でしたが、沢は最高の避暑地です。

    【ヒヤリハット報告】
    幸い雷には見合わなかったが、赤木沢遡行終了からキャンプ地までの距離が長く、行動を15時以内に終わらせることができなかった。

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