ユースクラブ2月例会 <積雪期登山勉強会>

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    【日程】2018年2月17日~18日
    【場所】八幡高原 斎山荘周辺

    【参加者】勝田、古川、田村、大田、森戸、池本、村上、長神、安松、堀、井上

    【登山概況】 CL(     勝田 直樹       )
    今回の勉強会に参加したメンバーは雪山未経験の人から経験豊富な人まで幅広いレベルで集まることとになり、初歩的な歩行などからロープを使用したレベルまで幅広いレベルでの勉強会となった。最初の歩行技術は斎山荘裏の斜面を使いトレーニングである。初めて雪の斜面を歩く人もいるので直登やトラバースなどを一つ一つ歩いてもらうが、雪なのか氷なのか、雪なら圧雪された雪なのかパウダーなのか、その深さは?など様々な条件によって歩き方は変わってくるところもあり実際にその状態を歩いてみないと説明しにくい事もありとても難しく感じた。
    次はビバーク訓練である。
    今回は実際にビバークしてもらうのではなくツェルトの貼り方やスノーマウントを作ってもらう。
    ビバークは緊急時にもゆとりを持って行動する事ができる大切な技術だ。
    今回は木々の間にロープを張って立てる方法で練習したが、色々な貼り方を練習したり実際の山行でも昼食時にかぶったりと積極的にツェルトを活用してもらいたい。
    スノーマウントはザックにツェルトをかけてその上に雪を盛って作るかまくらのようなものである。
    今回は全員が初めてということもあり1時間半かけても未完成だったので、次回はもっと早く作れるトレーニングもやっていかなくてはいけない。次は座学で雪崩の事などを資料で勉強する予定だったが時間が先のスノーマウントで押してしまったので、簡単なロープワークに変更して勉強してもらうことにした。
    雪崩については次回でもやろうと思うが、各自で持ち帰った資料などを読んで勉強してもらいたい。

    二日目の最初の勉強は雪山での支点構築の予定だったが、初心者のためにロープワークの基本をもう一度行う。
    エイトノット、ボーラインノット、インラインエイトノット、クレイムヘイスト、クローブヒッチ、ムンターヒッチ、シートベント、ダブルフィッシャーマンズノット等を勉強してもらった。
    その後、一度室内でツェルト搬送の練習を行った後にかりお茶屋裏の雪面で実際にやってみる。
    雪面で2回行ったが、2回目では1回目で不具合だったところの意見などを修正しながら行うことで技術も上がっていった。
    最後は雪崩捜索シュミレーションである。まずは単純にビーコンの操作の勉強で、一度各自で実際に埋めてあるビーコンを探してもらう。そしてグループで雪崩捜索を行う場合の役割や捜索リーダーを体験してもらう為に、実際に他のパーティが雪崩に合い仲間が流されたという想定でシュミレーションを行う。
    まずは安松くんにリーダーをやってもらった。
    おそらく安松くん以外は初めての雪崩捜索訓練だろうし、安松くんもリーダーをやるは初めてのはずである。
    そのためか全員が埋まった人の捜索だけに気がいってしまい、要救者のケアや情報を聞き出す事などが抜けてしまう事となった。安松くんもリーダーの難しさというのを勉強になったはずである。
    しかし最初のリーダーという一番難しい役割を頑張ってこなしたことは素晴らしい。
    シュミレーションが終わってから反省会を行い各自が思ったことを発表してもらい、スタッフからの総括で1回目のシュミレーションが終了。
    2回目は大田さんのリーダーで始める。さすがに2回目なので全員が流れを覚えてスムーズに進行していく。
    しかし何故だか分からないが1つのビーコンのスイッチが切れていてラインプローブを体験することになった。
    偶然ではあるが、ラインプローブは大変で時間がかかる、ビーコンを持つことの大事さも合わせて勉強できたことは凄く良かったと思う。ここでも反省会を行い意見を出し合っていくことで、また次回はもっと良い形で捜索が出来るはずである。
    二日間を通して雪山初級の人には難しいかなと思っていたが、本人達の頑張りもあって一生懸命ついてきてくれた。
    リーダーを体験した人は、その難しさと責任の重大さも合わせて勉強できたと思う。
    出来ない人は出来るように、出来る人はどんな時でも出来るように、どんな時でも出来る人は他人に教えれるようにならなければいけない。
    そして、こういった技術というのは1回では身につかないので今後とも毎年恒例にして皆で勉強していきたいと思う。
    最後に今回お宿をお貸しして頂きました斎様、夕食のお肉と皆への激励を頂きました八幡支部長様への感謝の言葉で閉めさせて頂きます。ありがとうございました。

    【感想】 黒田 真
    このたびは2日間大変お世話になりました。私自身、山の知識がなく、積雪期の登山についても山岳ショップによる講習を数回受講したくらいでしたが、今回の勉強会はより幅広い技術と知識が付き、私にとって有意義な時間を過ごすことができました。今回教えていただいた技術は大きく4つ、①登山装備と積雪期の歩行技術②ビバーク訓練③ロープワーク④レスキュー訓練、1日目は登山装備と歩行技術、ビバーク訓練、ロープワーク
    登山装備と歩行技術については基礎的なことは山岳ショップによる講習を受けていたため、
    すぐに理解できました。ビバーク訓練は実践を想定し、風向き・場所を把握しながら行いました。ビバーク時の不適切な場所は、雪質、風の通り道(特に山頂は風が強く吹き付けるため適していない)、木の真下(落雪の恐れがあるため危険)、今回は樹林帯で、木に積雪がないことを確認したうえで、先ずツェルトを張る箇所の雪を固め、出入り口が風向きにならないことを確認すること。また、ツェルトを張る箇所の雪をスコップで掘り、掘った雪のブロックを周りに囲うことにより、防風効果が有りより良いとのこと。他に、雪洞を掘ったり、人数がいればイグルーを作ることが可能とのことでした。今回初めてイグルーを作った感想としては、体力と時間がかかり、有効性は低いのかと思いました。
    ロープワークは基本的なエイトノット、グローブヒッチ、フィッシャーマン結び&末端処理・・・、を学びました。ロープワークは自宅でもできるかつ、皆さんも寝る前に練習しているとのことでしたので、少しずつ練習しようかと思います。

    2日目は再度ロープワークの練習、シート梱包搬送練習、雪崩捜索練習。
    シート梱包搬送について、ツェルトに搬送時の衝撃緩和及び寒さ対策のためにマットまたはザックを2つ連結させて下に敷き、要救助者には滑落防止のためにハーネスにロープを結んでおき、要救助者を寝かせ、肩腰膝の支点を作り、固定用のスリングを括り付け、両サイドのスリングを結び要救助者を固定する。支点はカラビナ以外にも雪や石でも良く、搬送時にずれない為にも支点の位置はなるべく下に作る必要がある。足先先端部にも支点を作り、肩腰膝のスリングと縦に結び固定する。頭部にも支点を作り、肩の支点と3点に搬送用のスリングを作り、流動分散で固定、要救助者のハーネスからとったロープを引き上げ用のロープをインクノットで固定、肩腰膝の支点から搬送用のスリングを使い要救助者を搬送する。搬送自体は思っていた以上に楽で、要救助者を体験された方は暖かく快適とのとこでしたが、斜面を下るときは頭を下にすると怖いとのことで、搬送自体もその時の状況に応じて工夫が必要でした。
    雪崩捜索は先ず、ビーコンが正常機能及び操作確認してから、事前に隠しているビーコンを捜索し、プローブで特定、スコップで掘りだすを練習してから、私含め6名で雪崩被害を合われたメンバー一人が救助要請というセルフレスキューの実践を想定した捜索作業を2回行いました。
    1回目はリーダ指示のもとすぐにサーチ・プロービング担当に分かれて捜索をし、一人目は練習の経験をもとに直ぐに見つけることができたが、二人目捜索は思い込みや救助要請者からの情報収集不足により大きく時間がかかってしまいました。救助要請者のビーコンの電源OFFの確認、救助者がビーコン所持かつON状態前提で捜索をしたことにより二人目の捜索に時間がかかりました。ヒントと捜索方法をラインプローブという捜索方法でやっと見つけることができましたが、他にも救助要請者に対し救護活動ができていないなど、多々反省点がありました。
    2回目は1回目の反省を踏まえ、先ず1人は要請者のそばに1人つけ、要請者からメンバーの人数・荷物や特徴・ビーコンの有無を聞取り、15分以内に2人の救出ができました。
    雪崩捜索について、今回はザックやスコップを埋めて練習だったため、スコップで掘り起こしてからの救出は直ぐにできましたが、実際に人が埋まっている場合、15分で2人以上の救出は現実的に難しいことを知りました。
    今回参加させていただいたうえで、私自身反省点は、登山用語・技術・ロープワークの予備知識が乏しい中参加したことにより、理解するまで時間がかかってしまいました。反省点を踏まえ、少しずつですが勉強し、皆さんに追いつけるように頑張りたいと思います。この度は勉強会を開いていただき、ありがとうございました。

    【感想】 長神 千春
    初めての冬山
    この度、私は初めて冬山を経験しました。冬山は怖いという先入観の中、緊張と不安と初めての経験に期待を抱きながら参加しました。澄んだ空気の中、初めてアイゼンを装着して踏みしめた雪の心地よい感触に感動を覚え、小説や登山家達の山行記録で読んだラッセルの過酷さを、膝下までの雪の深さで理解してしまったほど、汗をかきながら必死でついて行きました。夏山ではみることのできない、雪上に残された動物達の足跡や捕食された兎の残骸に生命の息吹を感じ、冬山はリスクが多い分、魅力も多いと身をもって知ることができました。ピッケルやアイゼンの使い方、ロープワーク、読図、気象や雪の状況判断など、冬山に登るために必要な勉強はたくさんありますが、知識を含めて自主練しながら、先輩方のご指導のもと山に登りながら、学んでゆけたらと思います。
    雪崩訓練は山岳看護師を目指している私にとって、興味深い訓練のひとつでした。雪崩現場において、少しでも早い救出と搬送が遭難者の生死を分けることを学びました。ビーコンを使用した適切かつ迅速な救出・症状観察、生命危機に関わる外傷の処置を正しく実施できるようになること、さらに遭難者の重症度と緊急度の違いを理解し、遭難者に応じた観察・処置、適切かつ迅速な搬送ができるように、仕事にも取り組んでゆきたいです。
    最後に、勝田さんをはじめ、ご指導してくださった先輩方、この日の為に装備を貸してくださった東さん、山荘オーナーの斎さん、今回の冬山訓練を許可してくださった上層部の方々に心から感謝申し上げます。

     

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