JAC YOUTHCLUB 雪崩講習会
JAC YOUTHCLUB 雪崩講習会
【講習会日時】2015年1月17日~18日
【場所】国立登山研修所(富山県 立山)
【参加者】池本、田村、勝田、津戸、田邊、堀
【講習内容】
(1)シート梱包演習
(2)積雪安定性テスト
(3)雪崩捜索演習
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(1)シート梱包搬送 VR12.00~35.00
①ツェルトにマットを敷き、要救助者を寝かせる。
●ケガしてなければ足部に枕などを入れてあげて楽な体制を作ってあげる。ケガをしていたら固定するため無理。
●首周りも衝撃でケガをしてはいけないので柔らかい物で養生してあげる。フリースなど。あとヘルメットがあれば被せてあげる。
●寒さ対策は下からの冷えを防ぐように気をつける。
●寝袋などに入れ寒さ対策をとってもいい。
●下に物を入れるのは寒さ対策だけでなく、搬送時の衝撃も大きいので緩和させる意味もあるのでありったけの物を入れる。空のザックなど有効。
●足を固定した方がいい
●抵抗になるのでツェルトの下には何も入れない
②梱包する前にハーネスにロープを結んでおく。
●ツェルトが破れたりしたら滑落していくのでそれを防ぐ。
●ハーネスがなければ簡易ハーネスでもいい。
③最低、肩、腰、膝の位置に支点を作り、固定用のスリングを括りつける。
●支点は同じ高さで作る。
●支点は今回カラビナを使用したが、雪や小物など何でもいい。
●抵抗になるのでツェルトの下には何も敷かない。
●ツェルトは伸びるので支点はなるべく下から作る。
●予めツェルトを引っ張ってから支点を作るといい。
●日山協ではシートベントで習ったが解けなければ何でもいい。
●スリングが無ければ紐なら何でもいい。靴紐とかでもいい。
④スリングとスリングを結び要救助者を固定する。
●あまりきつく縛らなくても縦のスリングで締まっていく。
⑤足先端部にも支点を作り、肩腰膝のスリングと結び縦に固定する。
●搬送中に下にズレて首を締めないように、肩の支点はV字になるよう縛る。
●痛がることもあるので考えながら締め込んでいく。
⑥頭部に支点を作り、肩の支点と3点に搬送用のスリングを作る。
⑦搬送用の支点に流動分散で固定し、要救助者のハーネスから取ったロープと引き上げ用のロープをインクノットで固定。
●流動分散はメインロープでやったがスリングでもいい。
●大きく8ノットを作り流動分散で固定。
●ハーネスから取ったロープは張り過ぎないようにする。
⑧ロープと搬送用のスリングを使い要救助者を搬送する。
●急な斜面では木や支点などを作りロワーダウンなどで下ろす。
●登りなどは60スリングなどを肩にかけ、搬送用のスリングを結び全身の力で登る。この方法は長い距離を搬送する時に使い、短い距離の時はシートを直接持って運んだりする。
●不安を取り除くため声をかけて安心させてあげる。
(2)積雪安定性テスト VR1.16.30~
①一番大事なのは雪の温度である。
温度勾配と言って、極端に温度が違う所は弱層の可能性がかなり高い。
まずは地表の温度。次に10㌢下。雪の層の間などを調べる。
温度計の誤差にも注意。水を入れたコップに雪を入れたのが0℃。
予め温度計ごとに誤差を調べておき、温度計に記入しておく。
②積雪の固さ
まず一本指を雪面に刺す。
刺さらなければ4本指で。
さらに刺さらなければ握りこぶしで調べる。
柔らかい場所など弱層になりやすく、その上に固い層があれば雪崩が発生しやすい。
雪崩ネットワークのHPでは①の温度と②の固さをグラフにしてあり、とても分かりやすく書かれてあった。
③ルーペで氷の結晶を調べる。
下ザラメ、小下ザラメは弱層になりやすい。
ザラメ。水をたくさん含んだグジュグジュの雪であり弱層になりやすい。
アラレは変体しにくい。
④弱層テスト。
スコップにあわせて四角柱の形を作る。
雪崩ネットワークでは30㌢四方と決めている。
雪面にスノーソーで縦に切れ目を入れ、いらない雪を取り除く。
その時に奥の辺にスノーソーを入れる為に、利き手の方に手が入るように切る。
反対は三角に切ってもok
出来た四角柱にスコップを乗せてたたく。
1.手首だけで叩いて10回
2.肘から先で10回
3.肩から10回 痛いのでグーでやってもいい
どこの何回目でどんな動き(ズレやクラックなど)をするか調べる。
叩いている人以外の人が見るといい。
これは間接的な情報の一つであって、それより地形観察や直前の降雪状況の情報の方が大事である。
現地に行くまでにバスの運転手さんにどんな雪が降ったかを聞いたり、現地に到着したら見通しがきく間に自分が行く山に雪崩の形跡がないか確認したりする。
自分達の行く尾根谷の形状と同じ形状の場所に雪崩の跡があれば、歩けば必ず雪崩はおきる。
そういう情報が一番大事であり、積雪安定性テストは補助的な情報の1つとして捉える。
(3)雪崩捜索演習
①雪崩発生時
●まずはメンバーの全員安全を確認。
●流されたメンバーまたは他に要救助者がいればセルフレスキュー開始。
②行動前準備
●リーダーが役割を決めてチームで動く。
●サーチ、プロービング、二次雪崩への警戒見張り、警察への連絡、時間などの記録。
●二次雪崩があった場合の逃げる方向を決めておく。
●ビーコンを全員サーチに切り替える。
③サーチ開始
●ビーコンの数字を声を出して読みながら捜索。
●他の人が近ければその人のプロービングの準備に入る。リーダーが指示。
●遺留物があれば、まずその周りを探してみる。ストックは手に結んである事があるので、抜けなければ要救助者と繋がっている可能性あり。
●発生点から消失点または消失点から遺留物の沿線上に流されている可能性が高い。
●デブリの末端は可能性がかなり高い。
●ビーコンに集中しすぎに注意。周りをよく見ながら捜索する。
●重なっている場合や近くにいる場合もあるので気をつける
④ピンポイントを出す
●ビーコンの数字が小さくなれば雪面にビーコンを近づけて一番小さくなるポイントを見つける。
●まず横で最小値を探し、そのポイントから縦で最小値を探しピンポイントとする。
●ピンポイントをスクウェアで印しプロービングにはいる。
●要救助者が深く埋まってる場合、最小値でも数字が大きくなる。
●ピンポイントが出たらプロービングする人に最小値を伝えてもよい。
⑤プロービング
●プローブは先端が尖ってるので要救助者がケガをしないよう気をつける。
●基本的に垂直に差し込む。雪面に直角と書かれている場合もあるが傾きが一定になりにくく垂直の方が安定して捜索できる。
●10cm間隔でプロービングする。
⑥ヒットが出たらスコップで流されたひとを掘り出す
●スコップは刃物と同じ。要救助者や周りにケガをさせない。
●深さを測り、深ければ(30cm以上)谷側から搬出するように広く掘る。
●斜度30°で深さの倍離れて掘らないと平行に出せない。
●プローブは抜かない。
●まずは口や鼻の中の雪を取り出し気道確保。あと胸部を雪で圧迫していると呼吸が出来ないので取り除く。
●人数がいて深い場合などV字ラインで掘る。
●疲れたら素直に交代をお願いする。その方が早い。
⑦デブリの外の安全な場所に搬出
●掘り出し直後は呼吸の確認。状況によって人工呼吸などを行う。
●寒い場合はツェルトや保温着やシュラフなどで暖めてあげる。下からの冷えが強い。
●急激に暖めすぎない。ショック死の可能性あり。
●搬出したら救助者のそばに一人つける。
●救助者のビーコンOFF
⑧ビーコンサーチで反応を確かめ、あれば二人目以降の捜索。
⑨ビーコンを持ってない人が流された場合、ラインプローブで捜索する。
●全員(多ければ号令役をおいてもよい)がプローブを持ち一列に並ぶ。
●リーダーの左の掛け声で左足前にプロービング。急激に暖めすぎない。
●次に右の掛け声で右足前にプロービング。
●ヒットがなければ一歩(ワカンの長さ分)前進