ユースクラブ5月例会 <中央アルプス 空木岳>

    【日程】2016年5月3日~5日
    【行程】3日:林道終点~池山小屋~ヨナ沢の頭~駒石(撤退)~池山小屋(泊)
    4日:池山小屋~池山~林道終点

    【参加者】CL安松、堀、岩切、池本
    【登山概況】
    二日目の天気が荒れる予報だったので、当初の予定を変更して、一日目に空木岳に登頂して、南駒ヶ岳には行かずに下山してくるという予定で出発した。
    6:00に登山口出発。一時間で今夜宿泊予定の池山小屋へ到着。シュラフ、食材など不要な荷物をデポし、空木岳へ向けて登山開始。林の中を、飽きない歩きやすい道が続く。二時間ほど歩くと、木々の間から宝剣岳など中央アルプス北部の山々が見え始めた。天気は晴れているが、尾根でなくまき道を歩いていても風が非常に強い。
    標高2400mを超えると、残雪が現れ始めた。林の中の急斜面を、溶けかけた残雪で滑りそうになりながら、木につかまりながら進んだ。
    10:20、ここから先は稜線歩きになるため、ピッケル、手袋などを装着。南側には、うす曇りの中、南アルプスがきれいに見えていた。稜線に近づくにつれ、風が強くなり、残雪に足を取られ何度も膝上まで埋まり、ペースが落ちた。しかし、目の前には雪に覆われて真っ白な空木岳が現れ、頂上も近いという気持ちでハイマツの中を進んだ。
    いざ稜線に出ると、想像以上の強風である。南側から吹き上げる風で、歩いていても徐々に右側へ寄ってしまう。足元はぐずぐずと崩れる残雪で、一歩一歩が非常に重い。話す余裕もなく、何とか大きな岩が立つ駒石にたどり着いた。4‐500mの距離を歩くのに一時間近くかかった。岩の周りで風の来ない場所を探すも、360度から風が吹き荒れていて、どこに立っても座っても、強風である。少しでもましな場所にしゃがみ、休憩を取った。
    池本さんから、「この状態だと頂上まで一時間、この駒石まで往復2時間はかかる。この強風のなかに2時間いたら体力的にも危ないので、撤退しようか。」と提案があった。この瞬間まで、私は頂上に行くことしか考えていなかったので驚いたが、すぐに自分がこの一時間で非常に体力を消耗していることに気が付いた。確かに、あと二時間強風に煽られていたら、どれだけ疲労するか・・・と考えると恐ろしい。皆の合意で、頂上はすぐそこに見えているが、記念撮影をして撤退となった。北には中央アルプスの連山がきれいに見え、次はリベンジで空木岳から縦走したいね、と話しながら下山を開始した。
    下山途中も、ピッケルで耐風姿勢をとらないと飛ばされそうな突風が何度もあった。稜線をおり森林の中に入り、やっと一息ついた。やはり稜線上での予想以上の体力の消耗もあり、下山は長く感じ、皆足に疲労が来ている様だった。
    14:30池山小屋着。他のパーティーがいたため、小屋の外で休憩しながら宴会開始。頂上には行けたかもしれない、でも、もし行っていたら疲労困憊は確実で、ここまで下山することを考えたら撤退してよかった、と話しながら乾杯。
    夜中から降り出した大雨は翌朝7時ころまで続いた。朝食時にやっと雨が止み、大きな虹がかかった。8:00池山小屋を出発し、池山山頂を踏んでから、9:00登山口着。この日はどこに行こうかと話しながら、山梨のほったらかし温泉まで足を延ばし、夏の下見ということで瑞牆山でクライマーたちに混ざってキャンプとなった。
    今回は残念ながら頂上目前で撤退となったが、撤退という選択肢が言われるまで浮かんでこなかった私には、非常に良い経験となった。行きたい気持ちは皆同じだが、頂上がゴールでなく下山し終わるまでの体力・時間を常に考えなければいけない、そして、体力の消耗具合も正直に把握しなければ、と勉強になった。翌日の気ままな温泉巡りも楽しく、計画通り行かずも、こういうのも良い経験と思えたGW山行だった。(堀 香織)
    途中まで順調に良いペースで登れていたので、駒石で池本さんに言われるまでは、撤退はあまり考えていなかった。山頂まで標高差にして200m。登れたかもしれないが、夕方から大荒れの予報であり、稜線に出てからのスピードを考えると、安全を最優先に考え、撤退が正しかったと思う。
    今回ユースクラブで初めてのリーダーであった。メンバーの力量を考え計画を立てることや、様々な要因から的確な判断をしなければならないこと。自分が足りない部分を認識することができ、良い経験となった。(安松 崇)

    【コースタイム】
    3日:6:00池山林道終点登山口~7:10池山小屋~ヨナ沢の頭~11:15駒石(撤退)~14:30池山小屋(泊)
    4日:8:00池山小屋~8:15池山~9:00池山林道終点登山口